2010年09月14日

色のはなし。

旅先で出逢った風景や、
雑誌で見かけた忘れられない色がある。
どうしても覚えておきたくてカメラに収めるも、
紙で見ると味気ない世界に変わってしまう。
しかしながら、興奮冷めやらぬうちに、
それをカタチにすれば、
いつもと違ったいいモノができる時が多い。
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器の企画で釉薬を決める時、
「どんな感じの色ですか?」と質問される。
できればその方の得意な色を見せて欲しい、
と思うのであるが、
それは果てしなく多種であるから、
お任せするのも申し訳ない事で…。
自ずと“今まで作った色から選ぶ"という流れになる。

一方、仕事場から離れると、
器に付けたい釉薬は自然の中に沢山あるのである。
「あのギリシャの壁で!」「朽ちた土壁に映える赤で!」
等と言える訳もなかった。


布を染める時も同じ事。
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「青空に映える洗濯物の赤!」「道端で目の覚める橙!」
なんて…。とても…。
言えたとしても、違うものが出来て来るのも、
目に見えているし…。




肌で感じた好きな色を新たに生み出すのはとても難しい。
技法や環境によって出来ないものもあるし。
だから、自然の中で出逢った色には、
ときめきや驚きが大きいのだと思う。
風化していたり、朽ちていたり、
または塗り重ねられた偶然であったりもするだろう。


春に桜の木の下で寝そべった時。
青空にそよぐ桜色の濃淡を観ては毎年感動するのは何故か?
きっと人には創れない素晴らしいモノだからではないか?
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そして、色の効果はとても面白く、
トレンドに反した色を強く打ち出してしまうと、
人々は反応しない。
そしてそれを所有すると"古くさい人"となるから不思議。
それぞれに好きな色はあっても、
仕事上の表現では、旬に敏感なのはとても大切な事。


これはフルーツショップの写真。
同じ事をしていても色が持つイメージで雰囲気は別ものに。
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そして、一番難しいのはファッションでの色。
私の派手好きは生まれながらにしての個性だと思うが、
生い立ちの環境から察するに、母の仕事柄、
"舶来"の華やかな生地に囲まれて暮らす日常が、
そうさせたのであろう。
また、我が家にお仕立てに来られるお客様は、
まず無地は創らなかった。
クラシックの演奏家が多かったせいか、
オンリーワンの華やかなプリントを、
思う存分華麗にデザインし、
舞台でスポットライトを浴びる。
自ずとそのような傾向に拍車が掛かっていた。

現代の日本では色を着こなす人が少ないのがとても残念。
電車に乗っていてふと気が付くと皆、ベージュか黒で、
バッグも同じ。
時々、華やかな若者がいたりすると「いいぞ!」と、
声を掛けたくなってしまう(笑)
それほどに"日本の普通"は退屈だ。

写真の人達はとても上級者。
全身に色を纏わなくても色を楽しむコツはある。
アクセントに色を使い個性を出している。
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歌舞伎の舞台に見るあの、
華やかな日本の色はどこへ行ったのだろう。
ファッションでも器でも、
もっと!もっと!色を楽しんで欲しい。
暮らしに色を!色は個性だ!


と言う事で…今日は我が儘な、
色のススメ。…のお話でした。
posted by 2 at 18:19| 衣ーfashion